政府が実施を検討している新型コロナウイルスによる経済復興対策の一つである旅行割引支援「Go To キャンペーン(仮称)」事業。外国人観光客がいなくなり、さらに不要不急の外出を控える生活のなか、国内観光者も激減し、大打撃となった観光業を救う大きな一手となりそうですが、どんな内容でいつから開始されるのでしょうか?この記事では、新型コロナからの経済支援策「Go To キャンペーン」について詳しく解説します。
※田端観光庁長官の会見内容より、Go To キャンペーンの開始時期を追記しました。
制度解説「Go To キャンペーン」とは?いつから?|新型コロナ支援
ふっこう割、希望割とは?

ふっこう割とは、自然災害やその後の風評被害により大きな経済的ダメージを負った地域を支援するため、被災地を訪れる旅行客に対して、国が旅行代金の一部を補助する助成制度です。2016年4月に発生した熊本地震の際には、九州7県を訪れる旅行者に対して最大7割を補助する「九州ふっこう割」が創設され、九州の復興に大きな役割を果たしました。これにより、復興支援のための「ふっこう割」は国の支援策として定着し、2018年の西日本豪雨災害に対して実施された「13府県ふっこう周遊割」や2019年の北海道地震に対して実施された「北海道ふっこう割」、直近では東日本地方を中心に大きな被害となった台風や豪雨災害に対して実施された「令和元年ふっこう割」があります。JTBやじゃらん、楽天トラベルなどの旅行予約サイトから宿泊割引クーポンが配布され、それを利用して予約を行う方法が主流でした。
新型コロナウイルス感染拡大による被害は、日本国内全ての都道府県に対して支援が必要な状態となっています。安倍総理は、経済支援策の一つとして「ふっこう割」と同様の宿泊割引クーポンによる観光支援を検討していると発表しました。また、自民党の二階幹事長は、「これまでの『ふっこう割』の規模を超える『希望割』を創設する」と発表、対象も全国に広げて割引率もさらに上げることを提案しました。
(4月4日追記)
政府は、利用上限を1泊当たり2万円程度に設定したうえで、国内旅行の代金を半額補助する大規模キャンペーンを実施し、飲食店や土産物店、観光施設等で利用できるクーポン券を配布する方向で検討しています。これらの施策のため、1兆円規模の支援策を盛り込む方針です。
Go To キャンペーン事業いつから実施?
新型コロナウイルス流行が終息してから実施することになります。不要不急の外出を控える施策と全く逆のことを推奨するわけですし、キャンペーン実施により旅行者が増えることにより感染者も増えたでは、本末転倒です。ただ、国の予算は4月~3月の年度で考えられているので、6か月間のキャンペーン期間を考えると遅くとも9月には開始したいと政府も考えているはずです。そうなるとに夏には開始に向けた準備が必要で、その頃には終息していることが条件となります。開始時期の判断は、かなり難しいと思われますが、遅くなればなるほど、観光業や外食産業に携わる企業やお店の経営状態はどんどんと悪化しますので、まずはそういった人々を救うための直接的な支援を充実されることが先決かと思われます。
田端観光庁長官「Go To キャンペーン」7月開始を目途に
田端観光庁長官は、5月20日の会見で、「現在は新型コロナウイルス感染症の拡大防止に取り組む期間であり、観光需要の回復期に向けた助走期間である」と強調しました。また、GoToキャンペーンの実施時期について、「2ヶ月前後先になる。(7/20前後)」との見通しを示しました。
Go To キャンペーン事業とは?
政府は、新型コロナウイルスの流行終息後、観光や運輸、飲食業、イベント・エンターテイメント業などを対象とした、官民一体での消費喚起キャンペーン「Go Toキャンペーン(仮称)」を実施することを公表しました。これらの施策のため、令和2年度補正予算案に1兆6,794億円を計上します。各業種ごとに支援内容が異なります。
旅行業に「Go To Travel キャンペーン」
旅行会社等を経由して、キャンペーン期間中の旅行商品を購入した消費者に対し、旅行代金の2分の1相当相当分(最大一人当たり2万円分/泊)のクーポンなど(宿泊割引クーポン、お土産・飲食・観光施設などの利用クーポンなど)を付与。
◆クーポンは、7割分を宿泊用に3割分を特産品購入などお土産、飲食などの利用に充てるそうです。例えば旅行代金2万円であれば、1万円が助成され、うち7,000円分を宿泊割引に、3,000円分をお土産品購入チケットとなるイメージです。
ふっこう割と同様、JTBや楽天トラベル、じゃらんといったオンライン旅行予約サイトからのクーポン配布が主流となりそうです。
JTBクーポンページ
楽天トラベルクーポンページ
飲食店に「Go To Eat キャンペーン」
オンライン飲食予約サイトを経由して、キャンペーン期間中に飲食店を予約・来店した消費者に対し、飲食店で使えるポイントなどを付与(最大一人あたり1,000円分)。
また、登録飲食店で使えるプレミアム付食事券(2割相当分の割引など)を発行。
※急務となる飲食店支援は、地域で様々な形で始まっています。プレミアム(割増)が付いた食事券やさきめし券など他県在住者でも購入できるものもあるのでぜひチェックしてください。
イベントに「Go To Event キャンペーン」
チケット会社を経由して、キャンペーン期間中のイベント・エンタテイメントのチケットを購入した消費者に対し、2割相当分の割引やクーポンを付与。
商店街に「Go To 商店街キャンペーン」
商店街等によるキャンペーン期間中のイベント開催、プロモーション、観光商品開発などの実施。
政府の支援を待てずに、自治体がふっこう割を実施
いつ開始されるかわからない「Go To キャンペーン」を待てずに自らの予算をもってふっこう割や割引プランの販売を実施する自治体や旅館組合などもあります。宿泊キャンセルが相次ぐなか、ホテルや旅館も新型コロナ対策として消毒の徹底やバイキングから部屋食への切り替えなどを行っています。
企業やお店に対する支援は、確かに必要ですが旅行者が多くなると感染拡大のリスクが高まるという板挟みの状況です。皆が苦しい時期ですが、政府もなんとかして一人でも多くの人を救済できるような制度を確立して欲しいものです。
その後、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた、国の緊急経済対策が打ち出されたよ。観光・飲食業関連は、『Go To キャンペーン』と称する大規模な消費喚起策を行う予定なんだ。詳しく解説するよ。